エキストラ

ドラマ名:雪月荘の事件簿
募集する役:被害者(死体役)

※演技力ありと当事務所が判断した場合
専属契約に関するご提案をさせて頂きます。

この死体役を見事にこなして大手事務所と契約できればやっと俺も!

「アクションっ!!」

現場監督の乾いた掛け声と同時に俺は完璧な死体になろう努める。

死体のふりじゃない。死体そのもになるのだ。

表情と呼吸を停止、いや、心臓自体を停止させるつもりで死体になりきるんだ!

「監督、大変です!死体役の方の心肺が・・・」



演技であれ一個人が他の何かに完全になろうとすることは
それが一瞬であっても自身そのものを殺すことになるのかもしれない。

私はネットでこのニュースを見た後、窓に映った自分の顔を見た。
演技力の欠片すら持ち合わせてない自分は幸せ者なのかもしれない。