質問があります!

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授業を終え、教室から出て行こうとすると生徒から元気よく質問された。
「先生は何で、死神になろうと思ったんですか?」
死神は嫌われる職業の上位にいつもいる。その癖、死神になるには資格を取得しなきゃいけないし、給料がそれほど高いわけでもない。疑問に思うのも当然だ。
「死神が天職だと思ったからよ。私ね、子供の頃から綺麗なものが大好きだったの。だから前職は宝石鑑定士をやっていたわ。ジュエリーショップも経営していたのよ。綺麗なものに囲まれて幸せだったわ。そんな時よ…父が亡くなったの。父とは折り合いが悪くていつも喧嘩ばかりしていたわ。その父がね、息を引き取る前に私に笑顔で言ってくれたの。お前は自慢の娘だ、って。人はね、死ぬ間際に本性が出るの。父の美しい本性を見て、私は人の死に寄り添おう、最後の思い出を宝石よりも綺麗に彩ってあげようって決めたの」
胸を張って語る私を死神学校の生徒達は目を輝かせ見つめた。
公開:22/02/07 20:20

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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