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「これで嫌なこと忘れよ!」
道端に置かれた奇妙な容器を指差して花子は私に言った。花子によると、忘れたいことを書いた紙をこの箱に入れると、紙に書いたことが入れた人の記憶からきれいさっぱり消えるという。
「私もこの前試してみたの」
「紙になんて書いたの?」
「それが思い出せないの。この箱に紙を入れたことは思い出せるのに……。ってことはつまり、紙に書いたことが私の記憶から消えてるってことでしょ」
私は半信半疑だったが、花子に紙とペンを渡されたので試してみることにした。
「忘れたいことか……」
「嫌な出来事とか、嫌いな人とか、なんでもいいから!」
「……うん、わかった!」
私は紙に書いてクシャクシャに丸めた。
「なに書いたの?」
「世界で一番嫌いな人の名前!」
私は箱に紙を入れた。
「どう? 世界で一番嫌いな人、忘れられた?」
目の前の女性が私に問いかける。
「……えっと、どちら様ですか?」
道端に置かれた奇妙な容器を指差して花子は私に言った。花子によると、忘れたいことを書いた紙をこの箱に入れると、紙に書いたことが入れた人の記憶からきれいさっぱり消えるという。
「私もこの前試してみたの」
「紙になんて書いたの?」
「それが思い出せないの。この箱に紙を入れたことは思い出せるのに……。ってことはつまり、紙に書いたことが私の記憶から消えてるってことでしょ」
私は半信半疑だったが、花子に紙とペンを渡されたので試してみることにした。
「忘れたいことか……」
「嫌な出来事とか、嫌いな人とか、なんでもいいから!」
「……うん、わかった!」
私は紙に書いてクシャクシャに丸めた。
「なに書いたの?」
「世界で一番嫌いな人の名前!」
私は箱に紙を入れた。
「どう? 世界で一番嫌いな人、忘れられた?」
目の前の女性が私に問いかける。
「……えっと、どちら様ですか?」
ホラー
公開:22/02/07 17:00
怖い話
ブラックジョーク
日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。
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