質問があります！

うっかり山猫軒へと迷い込み、身ぐるみはがされた私は目の前で繰り広げられるダンスに目を奪われた。
ピアノの上を猫達が楽譜に従い楽しそうに踊っている。
その横で楽器を奏でる猫達はピアノの音に合わせ、自由に音楽を楽しんでいる。
これだ！私が求めていた音楽はここにあった！
感動した私は今にも私を丸のみせんと大きな口を開けた山猫軒の主に問うた。
「質問があります！あの曲は何という曲ですか！？」
目を爛々と輝かせる私に主はニヤリと笑う。「クラシックのジャズアレンジだ。あれの良さが分かるとは貴様、見所があるな」
作曲家をしていると伝えると主は私をピアノの前に立たせた。「弾いてみろ」
私は鍵盤を軽やかに叩く。しなやかな猫をイメージした演奏に猫達が集まってはピアノの上でダンスを始めた。
猫達のダンスに食われまいと音を合わせる。喝采が上がった。
その夜以来、私は気まぐれに山猫軒を訪れては演奏するようになった。