質問があります！

記者会見。メモ帳片手に記者が手を挙げる。質問があります！と声が上がる。
人付き合いが苦手な私はそれに委縮してしまう。あんなにも多くの人に見つめられると死んでしまう。影武者を雇って本当に良かった…
私の代わりに質問攻めにあう影武者は実に堂々としている。
飛び交う質問もなんのその。一問一答のもとに胸を張って答えていく。凄いなぁ…カッコいいなぁ…
そんな思いを会見後、影武者に伝えた。
影武者は被っていた私の仮面を外すと「いえいえ、小説家としてペン一本で世界と戦う先生の方がカッコいいですよ。ペンは剣よりも強し。私なんて先生の威を借る狐に過ぎません」と笑った。
「それに見てください。私も震えが止まりません。実は私も人付き合いが苦手なんです…誰かを演じて、初めて人と話せるんです。私は…凄くもカッコよくもありません」
それを見て私はこの人を作品にしたいと思った。
だから「質問があります！」と声を上げた。