ひよっこですから

6
2

うちに新入社員がやってきた。

「先輩、ひよっこですけどよろしくお願いします」

彼はとても腰の低い男だった。ひよっこですけどが口癖の彼を私は面白がって、ひよっこ君と呼ぶ事にした。

「ひよっこ君。資料まとめておいてくれる?」
「はい」

そして少し時間が経った頃。

「先輩、資料まとめました」
「早すぎない?テキトーにしちゃんじゃないだろうね?」

目を通した。しっかり整理されてグラフまでついて分かりやすく解説までつけてある丁寧な資料。とてもこの短時間でやったように見えない。文句の一つでも言ってやるつもりだったが、文句のつけようがない出来栄えだった。

「……やるじゃん」
「ひよっこですから」

それから彼はメキメキ頭角を現した。すぐ重要な仕事を任せられるようになった。そして出世して追い抜かれた。

「先輩、お茶です」
「やめてくれ。もう部長だろ?」
「いいえ、僕はひよっこですから」
公開:22/02/06 10:07

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
https://novelchan.novelsphere.jp/38739/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容