のっぺらぼう

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「昨日も徹夜だったみたいだし、寝ぼけて階段を踏み外したのかも?」
女子社員Iは彩り豊かなネイルをちらつかせて髪をかき上げた。

死亡の原因は頭部の損傷。
亡くなったMさんは責任感の強い人だった。
人の仕事を引き受けて残業することなど彼にとって普通のこと。
 
Mさんの件があったにも関わらず他の社員たちはいつも通り業務をこなす。
彼らの顔はのっぺらぼうのようであった。
 
僕は他殺だと思った。
犯人は誰なんだ?
就業後の真っ黒に染まった化物を見上げる。

犯人はこいつだ。

だが、この化物の正体は何だ?
それは先程こいつの腹の中にいたのっぺらぼう達だ。

そして、何より恐ろしいのは僕もそれに含まれているという事実。
そう、紛れもなく僕ものっぺらぼうなのだ。
ミステリー・推理
公開:22/02/07 16:23

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