白杖の女

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目の前で白杖の女性が転倒した。私は大丈夫ですかと声をかけた。
「ありがとう」
「いえ」
「……あら。あなた。そうなのね。とても純粋で人を信じやすい。だから人から騙されてしまったのね。可哀想に」
「えっ……」
当たっている。私は彼氏の借金の連帯保証人になり、彼は逃亡。私には200万円の借金だけが残った。
「私、目が見えないけど人が見えるの。ねえ、助けてくれたお礼をさせてもらえないかしら」
「お礼ですか?」
彼女に連れていかれたのは、一件のBARだった。
「マスター、いつもの。彼女にも同じ物を」
「えっ、私お酒飲めなくて」
「大丈夫。ただのアイスコーヒーだから」
そう言いながら彼女は笑った。
「マスター、良い依頼ある?報酬200万くらいのやつ」
「旦那の浮気調査」
「ちょっとここで1時間待ってて」
そうして戻って来た彼女は、私に200万円を手渡した。
「これで借金返して」
彼女は微笑んだ。
公開:22/02/07 09:15

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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