小雀のキス

10
3

純は年頃なのか自分のソバカスをしきりに気にしていた。
鏡を見る度にため息をついていた。
なんで三姉妹の中で私だけソバカスがあるのかで母に八つ当たりをしたこともあった。
ある日、自分の部屋の窓から庭を眺めていると、雀の親子が戯れていた。
よく見ると、一羽の小雀だけが羽に斑点が無い薄茶色をしていた。
そのせいか、他の斑点のある小雀からいじめられているようだった。
みにくいアヒルの子を思い出した。
物語にふけっていると、その小雀だけが庭に置いてけぼりにされていた。
急いで庭へ出てみると、飛ぼうと必死な小雀がいた。
そっと掌にのせてやると私の頬にチュンとして飛んで行った。
掌には小さい羽が一枚残されていた。
母の言葉を思い出した。
ソバカスは「天使のキス」って言われているのよ。あなたの個性でいいじゃないの。と。
小雀にキスされてから、純はソバカスで悩むのをやめた。
ファンタジー
公開:22/02/09 07:00

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容