最後の交換日記

交換日記をしよう。
今時、とても古風だと思った。
でもそれが逆に新鮮で、私は面白いね。やろうと彼の提案に乗った。
彼の文字は綺麗だった。
私の字よりも綺麗で、書いた字を彼に見せるのがちょっと恥ずかしかった。
それから何度かやり取りをしている時、彼は親の仕事の都合で転校する事になった。とても簡単に会いに行ける距離ではなかった。

もう二度と会えないのだと思った。

これが私の最後の日記です。
あなたの事が大好きでした。今でも大好きです。遠くに行ってしまうあなたを想い、いつかあなたに再会できる事を願いながら生きていきます。
これが私の最後の交換日記だ。
最後は自分にとって一番綺麗で丁寧な文字で一生懸命書いた。
それから五年後。
私と彼は大学生になった。
彼は私と同じ大学に通うようになった。なぜなら彼は、最後の交換日記に親に頼み込んで買ってもらったばかりの自分の携帯番号を書いてくれていたからだ。