足しゴム

「色は黒ですが見た目は消しゴムそのもの。使い方は貴方次第ですよ」
胡散臭い露天商は饒舌だ。「どう使うの？」
「消しゴムの逆とお考えください」「いくら？」
「普段は１万円ですが今日は特別に半額です」「高！足元見やがって」
だが不安な気持ちが勝り、お守りと捉え買ってしまった。
「１つ注意事項がありまして必ず足しカ…」
「やばいもうこんな時間」と慌てて受験会場に急いだ。


本物だった。
自信の無い解答に足しゴムをかけると正解を補ってくれた。
結局１日で使い切ってしまった。
確実に合格だ。これならもっと買おうか。
露天商はまだ居た。「足しゴムまだある？」
「残念ながらアレが最後です」と手を差し出す。
「使用した分の足し貸すを返却してください」「は？」
「足しゴムはあくまで正解をお貸しするだけです。その貸すは返却していただかないと」
「無理だよ。どうなるの？」

「貴方の未来から頂く事になります」