鳴らないオルゴール

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幼馴染と今日で離れ離れになる。父の仕事の転勤で、俺は遠くへ行く。

「今日でお別れだね」
「うん」
「これあげる」

それは彼女が大切にしていたオルゴールだった。

「10年後、ここでまた会えたら嬉しいな。その時まで私の事忘れないように持ってて欲しいの」
「わかった」

時々昔を懐かしんでオルゴールを鳴らそうとするが鳴らなかった。壊れているのだろうか。
10年が経ち、俺は17歳になった。彼女との約束の場所へ、俺は出向いていた。

「……いるわけないよな。もう10年も経ってるのに。何やってんだ、俺」

そこに一人の女の子が現れた。

「久しぶり。背伸びたね」

それは彼女だった。

「これ」
「わぁ!!懐かしい!!オルゴールまだ持っててくれたんだ!!」
「うん」
「そのオルゴール。鳴らないでしょ。鍵がいるんだ」

そう言って彼女は、鍵を差した。オルゴールは、10年ぶりにメロディーを奏でた。
公開:22/02/01 08:59

富本アキユ( 日本 )

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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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