文字空

夜空に浮かぶ文字を父と一緒に眺める。
キラリと光る文字が一瞬走った。流れ文字だ。確か、その文字を頭文字にして願い事を３つ唱えるとそれが叶うんだっけ？
流れ星より難易度が高いそれに挑戦するもやっぱり失敗してしまった。
流正字群ならもしかして…と思うも、頭文字縛りがあるから厳しい事に変わりはない。あと沢山の流れ文字の中から目的の文字を探すのが一苦労である。
ため息を吐き、先程まで読んでいた文字空に視線を戻す。
今日も夜空に描かれた素晴らしい物語を堪能する。
昨夜は読んでいる途中で寝落ちしてしまった。おかげで若干風邪気味だ。区切りがいいところまで読んだら今夜は早めに寝るとしよう。
隣にいる父を見る。望遠鏡を覗き込み、読み辛そうに文字空を眺めている。
そんな父を見て、視力の大切さを思い知る。
だから私は流れ文字に願いたい。
”いつまでも肉眼で文字空が読めますよう、いい視力でいられますように”と。