よけいな世話

　"占い"に訪れた彼は、ぎこちない笑顔で聞く。
「末期ガン、だそうです…僕は、いつ死にますか?」
「そんな――」言いながら、彼を見た。疲れ、死人のような顔だ…でも、優しそうな笑顔だ。
　だから、つい――出してしまった。つい、"本気"を。

「…5月2日午後、心肺停止、脳死判断され、死亡が確認。家族や友人たちに見守られ――」
「…なぜ、わかる?」
「…商売柄、です」
　彼は私の手を握り締めた。
「何か延命手段は?」

　師匠の言葉を思い出す。
『運命は変えるな。お前も客も必ず罰が下る』
　でも、彼は――
「僕はっ、僕はまだ生きたいっ!」
「…わかり、ました」ごめんなさい、師匠。私は…彼を…。


　それから数日後、私は、恐ろしい夢に目が覚めた。
　激しい炎の中、焼けただれ、苦痛に泣き、絶叫の中で死に至る彼の夢。
「ああっ…ああーっ!」
　そう。彼はもう、この世にいないのだ。
　次は、私も…。