月曜は定休日

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俺の仕事は月曜が定休日だ。だって気の毒だろ、ただでさえ休み明けで憂鬱なのにその上、スリにあうなんて。
だから俺は今日、映画館にいる。近所のは毎月第三月曜が割引デーなんだ。
映画は佳境に入ったが、前方が妙に騒がしい。赤ら顔の男が、近くの席の若い女に因縁をつけているようだ。
月曜の昼間っから酔っ払ってるなんて、ろくな人間じゃないな。俺はビールを傍に置き、男の背後から忍び寄った。
「あんた、映画館で帽子はご法度だぜ」
男が振り返り、俺を睨む。
「俺は帽子なんて被ってないぞ!」
「おや、じゃ、これは何だろう」
俺の手には、黒々とした毛の塊。男が慌てて頭に手をやると、いつもそこにあるはずのものが消えている。
トイレに逃げこむ男の背中に、俺はいかした帽子を投げた。今日は返してやるぜ、非番だからな。
視線を感じて顔を向けると、女がうっとりと俺を見ていた。おいおい困るよ、月曜は仕事をしない主義なのに。
その他
公開:22/02/02 20:11
更新:22/02/05 00:49
泥棒

エス氏( 青森 )

落語とか漫才とかが好きなので、クスッと笑えてオチが綺麗なものを書こうと頑張っています。
よろしくお願いします。

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