落ちる100円玉

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朝方、公園にある自動販売機でジュースを買おうと、俺は100円玉を入れた。
すると、カラン。
100円玉は返却口に落ちて、返ってきた。

もう一度、100円玉を入れてみる。
結果は同じだった。
俺はむきになって、何度も100円を入れるが、吐き出される。

「落ちるなよぉ~」

思わず頭をかきむしりながら、大声を上げた。手には、さっきの100円玉と高校受験の結果の通知の封筒があったが、封筒を落としてしまう。

通知の結果は怖くて、まだ見ていない。
外を散歩して心を落ち着かせようとしていたが、落ちて、落として、縁起が悪い。

そこに受験先の高校の制服を着た女の子が封筒を拾い、中身を開けていた。

「合格おめでとう。後輩君。
ごめんね。勝手に開けちゃって。
じゃ、私これから部活だから。」

合格通知を俺に渡して、爽やかに去っていった。
立ちぼうけになっていた俺の心は、春模様に変わっていった。
青春
公開:22/02/01 23:23

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