ミシミシミシン

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「もしもし。お姉ちゃん。起きてる?」
スマホ越しの妹の震える声に不安になる。午前5時。
「どうしたの、こんな時間に。」
「一樹がベッドでうなされて……急にせき込んで……。で、こんなのを吐き出したの。」
横たわる小さな一樹と、天使の羽根のような形をした10センチほどの黄色い物体が映った写真が送られたきた。
私は、今夜の夢を思い出した。カタカタカタと音がして、足踏みミシンが現れた。それは、昔祖母の家にあったミシンだった。以前母にあのミシンのことを尋ねたら、もう処分してしまったと言われて悲しかったっけ。と思うや、ミシミシと音をたて、ぐらり崩れて消えてしまった。ミシン残像のように、キラキラと鱗が舞って、くいっと上がった尾びれが見えた。

一樹が吐き出したというそれは、よく見ると数の子のようだ。一樹は夢であの魚を食べたのかな?黄色くて丸い粒の1つからカタカタと音がして、小さなミシンが揺れていた。
公開:22/01/30 15:10

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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