優しい蜘蛛

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ある日の事でした。森の中で蜘蛛は、捕食の為に糸を張っていました。そこに引っかかったのは、一匹の蝶々。身動きが取れない蝶々に蜘蛛は近づいていきました。

「た、たすけて……」
「残念だったな。悪いがお前には、俺の餌になってもらうぞ」
「お、お願いします。助けてください。私のお腹の中には、卵があるのです。せめて……子の命だけでも助けてください」
「つまりお前は、卵を産んだら俺の元に、喰われる為、のこのこと戻ってくると言うのか?」
「はい……」
「はっ!信じられないな。どうせ嘘だろう」
「嘘ではありません。お願いします」
「……まあいいだろう。こんな話を信じた訳ではないが、いいだろう。逃がしてやる。必ず戻ってこい」

蜘蛛は蝶々を逃がしました。そしてしばらくし、蝶々は本当に戻ってきました。

「戻りました」
「……もういい。行け。子の所に帰ってやれ」
「ありがとう……」

蝶々は涙を流しました。
公開:22/01/29 10:05
更新:22/01/29 10:22

富本アキユ( 日本 )

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・作詞を担当
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