ドクター平松の頭の良くなるパン

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「先輩、このパン知ってます?」
「あぁ、懐かしい。頭の良くなるパンだろ。」
「あれ、ドクター平松ってまだご存命だっけ?」
「生きてますよ。このパン、シリーズ化して累計販売数3億個ですよ。」
後輩の植田は毎日このパンを食べていた。
「で、植田、頭良くなった?っていうか、あれほど白髪交じりの頭が黒々してきたな。」
「最近、不思議と白髪が消えてきました。」

数か月後、植田の頭は漆黒の闇の如く黒々となっていた。
「植田、吸い込まれそうなぐらい黒すぎだろ、その頭。」
「なんか、このパン止められなくて。中毒ですかね。」

数日して植田は会社に来なくなった。
心配になり彼のアパートへ向かった。
部屋にはおびただしい量のパンの空き袋が散乱していた。
私は部屋の壁の小さな漆黒の闇に気付いた。
植田はこれに飲み込まれたに違いない。
パンの空き袋をよく見ると、ドクター平松の頭のこくなるパンと書いてあった。
ホラー
公開:22/02/03 07:00

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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