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男は言う。一日は28時間である。これはスロバキアの偉い学者が発見したものであるが、見直されてきていると言う。
アルミを巻け!また言った。顔を上げていた私は誰にも聞こえないため息をつくと、また下を向き手を動かした。
どれほど前であろうか。GGという電波がどうの。やらと騒ぎ立てた先人は今や、白骨化して土の中に安置されている。
我々はそんなことはもう気にせず、ただひたすら毎日を生きているのだ。こうしてアルミホイルを巻いている。巻き続けなければならない。我々の使命なのだ。
そうして死ぬ時はきっと、今日もアルミホイルを巻いたなぁ。と思いながら死んでいくのだろう。
そんなことを考えているうちに、気がついた時には、私の周りには誰もいなかった。
私はゆっくりと立ち上がって、教室を見渡した。
何もない空間で私はただ一人立っていた。
私が巻いたアルミホイルだけがそこにあった。
そっとアルミホイルを頭に巻いた。
SF
公開:22/01/27 08:19

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