猫に好かれる祖母

私の祖母は物静かで猫に好かれる人だ。
どんなに人間嫌いな猫でも祖母の手にかかれば甘えん坊の子猫に早変わり。喉をゴロゴロと鳴らし、凄く気持ちよさそうにする。
それもあってか祖母の家は猫の集会場と化している。毎日祖母に会いに多くの猫がやってくる。
先月なんて動物園から脱走した雄ライオンが祖母に寄り添い、気持ちよさそうに眠っていた。
祖母がもふもふのたてがみをそっと撫でればライオンもゴロゴロと喉を鳴らす。
ライオンも猫なんだなと改めて思った。
その日のうちに雄ライオンは祖母に連れられ、動物園へと戻って来た。
職員達に特に驚きはない。「いつもすみません…」と頭を下げ、ライオンを檻へと戻した。
祖母は来たついでだとクロヒョウの檻へと足を運ぶ。
クロヒョウは祖母の姿を見るや慣れた手つきで檻から脱走し、祖母に頭を擦り付け甘え始めた。
祖母は職員に「檻、もっと頑丈にした方がいいわよ」とアドバイスしていた。