仕事

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「先輩~この感じ、今日も残業しなきゃですよねぇ~。」
「あぁ。ま、いつものことだろ。」
そう言いながら、後輩ちゃんの膨らんだ頬を突くと、ぷすぅと間抜けな音が洩れる。
「クックックッ…。」
「笑わないでくださいよぅ。」
「しゃーねぇだろ、面白ぇんだからよ。」
「もぅ! ほら、仕事しますよ!」
そう言って、足元に転がる人間を指差す。
「へぃへぃ。んで、こいつは何で死んだんだ?」
「えっと、喉を斬られたことによる失血死ですね。ご愁傷様です。」
話を聞きながらパラパラと書類を確認して、俺の印を捺す。
「ご愁傷様ねぇ…俺らがそんなこと言うのも妙な話だがな。」
「あ~、私達、死神は、元々死人ですもんね~。」
「ま、正しくは、生前に罪を犯した人間だな。」
完成した書類を上司に転送すると、直ぐに鐘の音が頭に響く。
「っと、無駄口を叩いてる間に、また仕事だ。行くぞ。」
「はぁい。今、行きまぁす。」
SF
公開:22/01/29 12:00

揚羽( 日本 )

物書きの端くれになりたい一般人E

空想の世界で遊ぶことが好き

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