遮るカーテン

カーテンは時に光を遮断する。
新米のカーテンは、初めて人間の部屋に入れてもらい、窓に取り付けられた。
お仕事の始まりだと、張りきっていた。

部屋の主の人間は、人見知りで臆病な面があり、カーテンをほとんど閉じて光を部屋に差し込ませなかった。

カーテンを少し開けては、通りかかっている人間を見つけ、その瞬間、カーテンを閉じて引きこもる。

ならば人も、遮断できるように気合いを入れて頑張ろう。カーテンはそうして張りきった。主に誉めてもらいたくて。

やがて、部屋に訪問する人がいなくなった。
部屋にいる間、電話がかからなくなった。
メールも来なくなった。
人通りもなくなった。
近くの住人も引っ越していった。

原因のカーテンの主である人間は、部屋を出ていった。
帰って来なくなった。

それに気づかないまま、カーテンは張りきり続ける。
自分の初めての仕事の頑張りを、誉めてほしくて頑張り続けたとさ。