カシミアのケープ

0
2

少し席を離れた隙に、部長が私のカシミアのケープを着ていた。
「これ、いいわね。凄く気に入ったわ」
部長は自分のもののように顔を擦り付ける。ババアの厚化粧がべったりとケープに付着する。
『そ…そんなに気に入ったのなら差し上げますよ…』
私は顔を引きつらせ部長に言った。あれはもう着れない…
「あらそう?まあ、このケープ、貴方には似合わないものね。これは私みたく気品のある女性が着てこそ意味があるものよ。ああでも、センスだけは認めてあげる。これ、貰ってあげるわ」
素直に「ありがとう」も言えんのか、このクソババアが!
はらわたが煮えくり返った私はあのケープに搭載された機能を使う事を決めた。

1か月後、部長が横領の罪で逮捕された。
無実を叫ぶも証拠はしっかりと残っている。いい気味だ。
ちなみに真犯人は私である。
あのケープ、別名をスケープゴートと言い、着た者を身代わりにする事が出来るのである。
ミステリー・推理
公開:22/01/24 20:37

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容