夜には花を/無題

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姉は不登校だ。
基本的に自室に籠っているが夜になると街へ出る。
虹色のワンピースを着て。
寡黙で冷たい夜に恋をしているらしい。
学校にはそんな魅力はひとつもないのだそうだ。
なんとなく分かるような気がしてクローゼットの奥にしまった山吹色のワンピースを着てみたくなった。


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春を踏みつけて歩いた。
夏に首を絞められた。
秋になり去年かいつだったかに取っておいた哀切が騒ぎ出した。
冬は突然僕を抱き締めた。
雪が降る。
手が悴んで痛い。白く染る。
雪が溶けるように僕の身体も半透明になり溶けてゆく。
青春
公開:22/01/25 20:02

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