駅舎にて

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私は疲れた体で夜、駅に着いた。丁度目の前に故郷行き列車が停まっていた。親はもういないが無性に帰りたくなり、開いたままのドアから乗り込んだ、途端に扉は締まり発車した。
明け方故郷に着き、ぼんやりと駅舎に立っていると目の前に男が現れ話しかけて来た。

この街でたった一人で住んでいましたが、今朝新しい所に行こうと決心し次の列車を待っていたところへ貴方が降りてきました。どうしてこの街に来たのですかと尋ねた。
ここは私の故郷で、戻ってきたのですと答えると、今は誰もいなくなり寂れていますよ。今日一日私が案内してあげますから、戻るかどうかはその後に決めたらどうですかと言ったので、昼間一緒に荒れ果てた街中を走り回った。

男は私に一日伸びましたが明朝来る貨物列車に乗り、この街を去ります。貴方も来ませんかと誘ってくれ、私も一緒に行く事にした。
翌朝、朝日を浴びた黒猫と白猫が貨物列車に飛び乗る姿が有った。
ファンタジー
公開:22/01/22 10:48

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