空想、売りマス

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残業、パワハラ、モラハラ、アルハラ…
目の前にある現実に辟易する。まるでモノクロの世界にいるみたいだ。
はぁ、と溜息を零して、駅前にある裏路地に入り込む。
「いらっしゃい」
「いつもの頼むよ」
怪しげな占い師のような男にそう告げると、男はこれまた怪しげなカードを取り出した。
「今日はどんな空想にしましょう?」
「オススメは?」
「そうさね、宇宙飛行士とかどうだろう。ファンタジックなやつなら勇者になってドラゴン退治!」
「ドラゴン退治かぁ。それにしようかな」
「毎度あり。一万ね」
財布から万札を取り出して男に渡して、剣の描かれたカードをもらう。
「しかし高いねぇ。もうちょっと安くならない?」
「これでもだいぶ譲歩してるさ」
「えぇ…」
「何、一万でとうに失った童心を取り戻せるなら安いものだろ?」

男はそう言うが、お金を出さなきゃ童心を買えなくなるなんて、子供の頃は考えたことも無かったよ。
ファンタジー
公開:22/01/24 11:51

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