夢が叶った日

絵本の中のお姫様に憧れていた。
綺麗なドレスを着て、素敵な王子様と恋に落ちるの。
そんな夢を見ては、理想を語っては両親や周りの大人達は微笑ましく笑っていた。



けれど、今日、遂にその夢が叶うの。
かつて笑っていた両親の、嗚咽が聞こえる。

「夢見たドレスだねぇ」

母が、そっと私を抱き締めた。姿見の前の私は、純白のドレスを着て、本当に、幼い頃に憧れたお姫様みたいで。

「うん」

母の言葉に、そう頷くのが精一杯で。

「そろそろ行きましょう」
「はい」

外に出れば、父がいた。父は既に涙でぐしゃぐしゃの顔だった。

「……行くか」
「うん」

そして、扉を開く。
ステンドグラスが輝く部屋に、沢山の人が集まっていて。
そして、白い道の先に、私の王子様がいた。
特別カッコイイわけではなく、頭がいいわけでも、お金持ちでもないけど。

私だけの王子様。

そして今日は、私の夢が叶った日。