時計と記憶

0
2

「奥さん…落ち着いて聞いて下さい。旦那さんは事故で、時計喪失になってしまったようです…」
呆然とする。時計喪失って何だ?夫は日頃から腕時計なんてしないから失くす時計は持っていないはずだ。抑々、それを言うのなら記憶喪失ではないのか?
「ショックなのは分かります。しかし旦那さんは意識と記憶がはっきりしています。我々も出来る限りは協力しますので奥さんもどうか、旦那さんの時計を取り戻す事を諦めないで下さい」
ますます意味が分からない。時計なんて失くしたところで困らないだろう?
なんて思っていた私は無知だった…
夫は事故により、体内時計を失っていた。
それにより時間の感覚を失っており、本人は10秒数えたつもりでもそれが5秒だったり1分だったりする。
さらに腹時計も失っているものだから丸1日何も食べなくて平気な時があったり、逆に1日16回食べる時もある。
時計も記憶同様、大事なものだと思い知らされた。
SF
公開:22/01/20 20:54

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容