時計と記憶

0
3

夏休みの自由研究、僕は近所の遊園地について調べる事にした。
早く開園しないかなと心待ちにし、ゲートが開くや園長さんに取材を申し込んだ。
「それなら私より遊具の皆さんに聞くといい。皆、私より長く勤めているから」
園長さんの言葉に頷くと僕はジェットコースターに取材を申し込んだ。
「私よりメリーゴーランドに話を聞くといい。彼は遊具の中で一番の古株だからね」
ジェットコースターにお礼を言い、僕はメリーゴーランドに取材を申し込んだ。
「俺より時計塔に話を聞いてはどうかな?彼女は遊具ではないが私より年上だよ」
メリーゴーランドにお礼を言い、僕は時計塔さんに取材を申し込んだ。
「アタシよりゲートの時計のお話を聞いてみたら?あの方はこの遊園地の全てを見ているわよ」
時計塔にお礼を言い、ゲートの時計に取材を申し込んだ。
「いいとも」
お客さんの笑顔を誰よりも見てきたゲートの時計の記憶は素晴らしいものだった。
公開:22/01/21 20:30

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容