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夏休み明けの大学、田舎に帰省していた友人の背後に黒子がくっついていた。
「これ、気にしないで。いないものと思って」
友人の表情を見るにそれは触れられたくないもののようだ。気になるも無視する事にした。
だが周りはそうはいかない。何だあれ?と指をさす。ひそひそと噂する。
そんな中、面倒な集団が友人に近付いて来た。
「何だコイツ?」と笑いながら友人の許可も取らずに黒子の顔を隠す布を捲った。
彼らは何を見たのだろう?顔を引きつらせ、その場に尻もちをつく。
黒子は友人の背後から離れると顔の布を捲った男の影の中にスーッとその身を沈め、消えた。
翌日、男は黒子姿で大学に現れた。一言もしゃべらず、男の彼女の背後にぴったりくっついている。
何やっているんだ?と誰もが思う。だが聞けない。
だってあの黒子、影がないんだ。
声をかけたが最後、自身も影を失い、黒子になるかもと思うと気になるも皆、無視する他なかった。
ホラー
公開:22/01/21 20:25

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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