進まない時計

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ここは大企業のコールセンター。顧客からのクレーム電話がひっきりなしにかかってくる。
ぷるるるるる ガチャ
「はい、こちらカスタマー担当です。ご用件はなんでしょう。えっ、はい。おたくで買った時計が壊れている、ですって!大変申し訳ございません。お客さま、サービス改善のためにも、どのように故障しているのかを教えていただければ。はい、なるほど。
いつまで経っても12時にならない
時計の針が進んだり、戻ったりしている
最初のうちは調子よく進んでいたのに、最近は針が全然動かない
恐れ入りますが、お客さま。お仕事は何をなさっているのでしょうか。ああ、なるほど。それは大変ですね。人間という種族は、なんとも身勝手でございますから。私どもの仕事も、それを痛感させられる毎日です。お客さま。人類はこう考えているのです。
12時が来るまでは魔法にかけられているし、それを過ぎたとしても、案外ハッピーエンドになるとね」
SF
公開:22/01/21 16:01

はつみ

現実世界の2次創作
誰かに教えたくなるような物語を書きたいです

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