愛のあいさつ

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今日も朝からピアノの音色が聞こえる。

「おはよう」

僕は声をかける。君はピアノの演奏を止めることはしない。

「エルガーだね。愛のあいさつか。今日のような晴れた爽やかな朝にはぴったりの選曲だ」

だが君は、僕の声が聞こえていないかのようにピアノを弾き続けた。愛のあいさつの音色が部屋中に響き渡る。

「優しい音だ。僕は君のピアノが好きだな」

一曲聞きながら僕は、カップを片手にコーヒーを飲む。爽やかな風で緑色のカーテンが揺れて、朝日の光が部屋の中に入ってきてピアノを弾く君を照らす。目を閉じて優しいタッチでピアノを弾く君のその姿は、まるで天使のようだ。

演奏が終わり、君は席を立つ。

「私もコーヒー飲もうかな」
「君がコーヒー?珍しいね。いつも紅茶なのに」
「あなたが美味しそうにコーヒー飲んでるからよ」
「君のピアノの音がコーヒーを美味しくするんだよ」

そう言うと彼女は、微笑んだ。
公開:22/01/19 10:12

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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