優柔不断な妻の遺伝子

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「早く、決めなよ。」
「ちょっと、待ってよ。」
ケーキ屋のショーケース越しに陳列された美味しそうな色とりどりのケーキをじっと見つめて動かない妻がそこにいた。
「このブルーベリーのケーキとあっちのイチゴのタルトとどっちがいいと思う?」
(また、始まったよ。)
「好きな方にしなよ。」
「あなたは決まったの?」
「俺はモンブランだよ。」
何を決めるのも早い俺と比べて妻はかなり優柔不断である。さらに、決めたものを後から、
「あぁーあ、やっぱりイチゴのタルトにしておけば良かった。」
と、必ず後悔する。まあ面倒くさい。
今朝変な夢で目が覚めた。
太古の昔、ミトコンドリアがヒトの細胞に寄生し、共存し今日のヒトのエネルギー源を産生しているという講義の夢で最後に
「しかし、このミトコンドリアの中にはヒトの細胞に出たり入ったりしている優柔不断なものもおる。」という内容だった。
(妻の遺伝子だな。)と思った。
ファンタジー
公開:22/01/19 08:08

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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