時計と記憶

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高齢の祖母は携帯電話を持たず、今も黒電話を愛用している。
平成生まれの私は黒電話を最初見た時、使い方が分からなかった。しかもこの黒電話は特殊で12/0~11までの番号が存在する。まるで時計のようだ。
そもそも12/0なんて表記はここでしか見た事がない。10や11のダイヤルは何なのだろう?
私が聞くと祖母は嬉しそうに黒電話に手を伸ばす。10と11のダイヤルを回し、12/0のダイヤルを2回転させる。
そして祖父の保険証を見せるとその生年月日をダイヤルしていく。
『もしもし、儂じゃ。元気にしとるか?』
驚いた。受話器から祖父の声がした。
祖母はそんな祖父と会話を楽しみ、10分程で電話を切った。
「この電話はね、話したい人に繋げてくれる電話なの。自分とも話せるのよ」
私は自身の生年月日をダイヤルする。
『もしもし、私。何か用?』
驚く私に祖母は「この感動と衝撃は絶対に忘れられないのよね」と笑った。
公開:22/01/19 20:51

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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