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マヨネーズ製造会社の工場の会議室では夜遅くまで、横長テーブルで十二、三人の熱い声が響いていた。
「つまり、分解触媒が紛失したと?」
「確かです。知らぬ間に在庫の液が減っています」
「誰かが搾取したと?」
「可能性はあります」
「これはわが社の秘中の秘」
「流出したら?」
「他社が簡単にわが社が培ってきた味のマヨネーズが真似られます」
「気づかなかったのか」
「少量ずつ盗られたようです」
「一大事だ」
そこに工場長が会議室に入ってきた。
「さあ、続けてくれ」
「工場長!わが社の貴重な触媒が盗まれました」
「うん、その、改善策と再発防止策を検討してくれ」
結論をみないまま会議が終わって、工場長は工場長室に戻ってきた。
粗末なダッシュボードの扉を開けるとバーボンの瓶が二十本ほど並んでいた。
工場長は茶色い液体を詰めた瓶を眺めてひとり言を言った。
「すぐには売れないな。しばらく寝かせておくか」
「つまり、分解触媒が紛失したと?」
「確かです。知らぬ間に在庫の液が減っています」
「誰かが搾取したと?」
「可能性はあります」
「これはわが社の秘中の秘」
「流出したら?」
「他社が簡単にわが社が培ってきた味のマヨネーズが真似られます」
「気づかなかったのか」
「少量ずつ盗られたようです」
「一大事だ」
そこに工場長が会議室に入ってきた。
「さあ、続けてくれ」
「工場長!わが社の貴重な触媒が盗まれました」
「うん、その、改善策と再発防止策を検討してくれ」
結論をみないまま会議が終わって、工場長は工場長室に戻ってきた。
粗末なダッシュボードの扉を開けるとバーボンの瓶が二十本ほど並んでいた。
工場長は茶色い液体を詰めた瓶を眺めてひとり言を言った。
「すぐには売れないな。しばらく寝かせておくか」
その他
公開:22/01/19 18:17
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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