レースのカーテン

僕は部屋のカーテンを閉め切った。
外の光は嫌いだ、その中で大勢の人間が忙しく生きていると思うだけで嫌になる。
もう２年、この部屋に居る。
トイレと風呂場、用意してくれる食事を摂るだけ。
学生生活からは逃げるしかなかった、両親もそれを受け入れてくれた。
「今は在宅勤務の時代なんだ、お前にもきっと出来ることがあるさ」　両親には感謝しかない。　一時は自分の人生に幕を下ろそうとしたのだから。　暗闇に消えてしまいたいと今でも時々思う。
カーテンで閉ざされた部屋で自分を見つめ、決して焦らせない両親に守られ、僕は今、プログラミングの勉強をしている。
いつか社会人として一幕を演じる夢をみて。
今日は少しだけ、レースのカーテンから光りを採り入れた。