すぐに燃え尽きるステッカー

人体に馴染んだ瞬間、スゥと燃え尽きるステッカーがある。
そのステッカーには言葉が書かれていて、燃え尽きた瞬間に書かれていた言葉通りの人間になる。
５歳までに貼らないと効果がなく、貼られたことのない人間など居ない。

値段が高くいい言葉のステッカーと、値段が安く悪い言葉のステッカーが店で売られている。
いい言葉を信じるいい親と悪い言葉を信じる悪い親で、店はいつも繁盛している。
ステッカーが燃え尽きる瞬間はあまりにも綺麗で人を惹きつける魅力があり、子どもにステッカーを貼るのは家族の一大イベントだ。

ステッカーを作っている企業がある。
大変儲かっていて、誰もが羨む生活をしている。
その企業の娘はもうじき８歳になるのに、ステッカーを貼られたことがない。