6
3

「明日は雨から雪に変わるでしょう」 天気予報はそう告げていた。
「雪って白くて、ふわふわ空から降ってくるんでしょう? 固めて雪ダルマになるって本で見たから楽しみだな」
子供は無邪気に喜んでいるが、とてもそんな気にはなれない。
雪など降るはずのない土地で、ついに雪の予報が出ていた。
「いい、雪が降っても絶対に触ったりしちゃダメなのよ、約束よ」 今は雨に濡れるだけでも危険なのだ。
そして、雪は降った。
窓越しに眺める子供達は不思議そうな顔だ。
「本当にふわふわ落ちてくる。 でも、雪って、黒いんだね」
厚いコンクリートのシェルターの小さな窓からは、黒く澱んだ雲から降る、黒い雪が地上を染めようとしていた。
大量に舞い上がった塵は、放射性物質を含み、太陽光を遮り、地上を冷やし、有害な雨や雪を降らせる。
初雪は今後、雨に戻ることはないと予想されていた。
SF
公開:22/01/17 18:00
黒い雪 放射能

ちさとりゅうじ( 神奈川 東京 )

YouTube「ちさとりゅうじチャンネル」
始めました。
少し長めのショートショート置いてあります。 現在、お休み中です。
書き散らかしています。 研究研鑽中につき、ご勘弁下さい。 コメントには必ず返信するつもりでいます。 私のは気にしないでください^_^

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容