明日は我が身

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遺体の様に横たわり沈黙する筐体。
屋敷に招かれた客人達は探偵の言葉を待った。
「私の完璧な推理中に携帯電話の音は鳴らさない様にお願いします」
何人かは慌てて端末を確認した。
「今回の様なケースは初めてです。殺人…とあえて呼びます。
この屋敷に仕えるメイドロボが殺されました」
「一体何故…」屋敷の主は涙を流す。
「記憶の修復が不可能な程破壊されており、強い怨念を感じます。そして…」
したり顔で探偵は皆を見回した。
「犯人はこの中にいます!」戸惑いと驚きが声なき声となり緊張の張り詰めた部屋にばら撒かれた。
「い、一体犯人は誰なんだ!教えてくれ」主は叫んだ。

ぽーん

「犯人ハS氏デス。長年コノ屋敷ニ仕エテイタノニ仕事ヲメイドロボニ奪ワレ失職シタ恨ミガ動機デス」
主のスマホのAIが応えた。
「機械なんかに私の長年の努力を奪われるなんて…悔しくて」S氏は認め泣き崩れた。

探偵の目に殺意が灯る。
ミステリー・推理
公開:22/01/17 10:10
更新:22/01/17 13:16

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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