記憶喪失の私
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気がつくと病院のベッドの上だった。私は診察を受け、体に異常はなかった。
ただ――
記憶喪失であるという点を除いては。
私は道で倒れていたらしい。倒れていた時、持ち物は財布のみ。現金数万円と免許証があった。警察を呼び、私は事情を話して家族に連絡を取ってもらった。そして私の母と名乗る人物が病院へやってきた。
「……記憶がないそうね」
「はい……」
「それは好都合だわ」
「えっ?」
「いいえ。何でもないわ。数日入院して退院したらうちへ帰りましょう」
私は退院した。家へと帰ったら何か思い出すかもしれない。そう思って家に入った瞬間だった。強烈な頭痛がして全てを思い出した。
「あっ……ああっ……」
「どうしたの?さあ入りなさい」
思い出した。全て思い出した。
お母さんがお父さんを殺したあの瞬間を。私は目の前で見ていた。そしてあろうことかこの悪魔は、平然とした顔で私を迎えに来たんだ。
ただ――
記憶喪失であるという点を除いては。
私は道で倒れていたらしい。倒れていた時、持ち物は財布のみ。現金数万円と免許証があった。警察を呼び、私は事情を話して家族に連絡を取ってもらった。そして私の母と名乗る人物が病院へやってきた。
「……記憶がないそうね」
「はい……」
「それは好都合だわ」
「えっ?」
「いいえ。何でもないわ。数日入院して退院したらうちへ帰りましょう」
私は退院した。家へと帰ったら何か思い出すかもしれない。そう思って家に入った瞬間だった。強烈な頭痛がして全てを思い出した。
「あっ……ああっ……」
「どうしたの?さあ入りなさい」
思い出した。全て思い出した。
お母さんがお父さんを殺したあの瞬間を。私は目の前で見ていた。そしてあろうことかこの悪魔は、平然とした顔で私を迎えに来たんだ。
公開:22/01/17 10:04
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