神話は真実になる

「ところで君は神話を信じるか？」

先生は私に問いかけた。

「と言いますと？」
「例えばだ。ヤマタノオロチが実在すると思うか？」
「いいえ。昔の人が誇張したのでしょう」
「そうか。君はリアリストなのだな。ロマンがないね。つまらない男だ」
「よく言われますよ。私は科学者。現実主義者です」
「なら君に現実を見せよう」

初めての事だった。研究室の地下の部屋へと案内されたのは。

「これを見たまえ」

そこには、ヤマタノオロチのはく製があった。

「まさか……」
「驚いたようだね。これは私が作り出した人工生物だよ」
「素晴らしい。先生の研究はここまで進んでいたのですね」
「神話は真実になる。これを世に放てばな」
「動くのですか！？」
「ああ。細胞も培養している。すぐにでもこれは動き出すさ」

かつての神話は、この研究施設から生まれた。この悪魔のような実験施設から生まれた生物兵器は、世界を襲う。