名伏せ

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3日後に結婚式を控えた私の心中は穏やかではなかった。「名伏せ」と呼ばれるこの村の仕来りに則り、嫁入り前の1週間は誰であっても花嫁の名前を口にしてはならないのだ。なんでも、この村に古くから信仰されている神様がこの1週間の間に花嫁を清めるらしく、もし、その間に名前を口にしてしまうと婚約は破棄され、神様のお怒りを買うと親父にしつこく言われてきた。私は大阪の広告代理店で働いていが、母の危篤の一報を聞きこの村に帰ってきた。母はまだ介護が必要なため私がこの村を離れられるのは数年先になるだろう。私の彼女はいつもけらけらと笑う女性だ。私たちが婚約すると伝えた時の母の顔は一生忘れることはないだろう。それ故、今こうして私の家族と彼女は共に食卓を囲み、団欒の時を過ごしている。そんな他愛もない瞬間だった。母は私の目の前で倒れ、息を引き取った。その時、私は「〇〇」と口にした。
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公開:22/01/17 23:00
名伏せ

( 新潟 )

22歳の大学生です。なにも経験がないので、読んでくださった皆様を不快な気持ちにしてしまうかもしれません。どうか温かい目と心で読んでくださると幸いです。ご意見やご指摘などあれば、自身の成長や励みになります。何卒宜しくお願い致します。

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