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「あなた起きて、朝よ」

 頭の中で響く妻の声に寝ぼけながら目を覚ます。顔を洗い、仕事の身支度を済ますと3人分の朝食の準備に取り掛かる。卵焼きに焼き魚、ご飯と味噌汁。

 そうこうしている内に寝室からバタバタと慌ただしい音が鳴り響く。怪獣のお目覚めだ。

 まだ眠そうに瞼を擦る陸斗を着せ替え人形の様に着替えさせると、勢いそのままに食卓へと促す。

 陸斗は時折り眠たそうに半目になりながらも黙々と箸を進める。

「やっぱりママのご飯美味しい」

「美味しいな」

「パパー」

「なんだい?」

「明日からはパパのご飯が食べたいな」

「どうして?」

「だってママ毎日僕達の朝ごはん作ってたら天国行けないじゃん。僕はもう平気だよ。パパがいるからさ」

「でもパパ料理作れるの?」

 俺は表面の焦げた卵焼きを口に放り込むと、

「センスはないかもな」

 とハニカミながら答えた。
青春
公開:22/01/17 22:41

恋するメンチカツ( 兵庫県 )

多くは語らぬ世の情け、見て感じ取り、考えよ!
次世代喜劇の執筆家、恋するメンチはカツの味!
恋メン劇場いざ、開演!!

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