梅星
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部屋に入ると夫が食い入るようにテレビを見ていた。お昼の情報番組である。画面の左上に出ている「通販限定!1粒10万円の梅“ボシ”」のテロップを見て、私は納得した。彼は梅干しが大好物なのだ。
その梅は、特に味が良いわけではない。ただ、特殊な加工をされており、発光するのだという。ついた名前が「梅星」。
ダジャレかよとずっこけた私だったが、夫は何事か真剣に考え込んでいた。
数年後、夫は突然この世を去った。心不全だった。
遺品を整理していると、机の引き出しから封筒が出てきた。中を改めると、入っていたのは10万円。私は受話器を手に取った。
彼の墓前に、お気に入りだった豆皿(これで食べると梅干しがうまくなるとよく言っていた)にのせて梅星をそなえた。梅星はふわりと浮き上がり、ぐんぐん空へ登っていった。
夜空で赤く輝く小さな星を見つけると、私は嬉しくなる。彼の、幸せそうに口をすぼめる顔を思い出して。
その梅は、特に味が良いわけではない。ただ、特殊な加工をされており、発光するのだという。ついた名前が「梅星」。
ダジャレかよとずっこけた私だったが、夫は何事か真剣に考え込んでいた。
数年後、夫は突然この世を去った。心不全だった。
遺品を整理していると、机の引き出しから封筒が出てきた。中を改めると、入っていたのは10万円。私は受話器を手に取った。
彼の墓前に、お気に入りだった豆皿(これで食べると梅干しがうまくなるとよく言っていた)にのせて梅星をそなえた。梅星はふわりと浮き上がり、ぐんぐん空へ登っていった。
夜空で赤く輝く小さな星を見つけると、私は嬉しくなる。彼の、幸せそうに口をすぼめる顔を思い出して。
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公開:22/01/17 22:00
更新:22/01/17 21:49
更新:22/01/17 21:49
梅干し
落語とか漫才とかが好きなので、クスッと笑えてオチが綺麗なものを書こうと頑張っています。
よろしくお願いします。
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