キングサーモン

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アラスカ沖、サーモン王の城。
「王様、日本では正月に新巻きより、回転寿司の人気が……」
紅鮭大臣は勢力図を広げ、ため息をついた。
「寿司ネタだと、あれはチリ産のニジマスではないか、わしは鮭の中の王、キングサーモンであるぞ!」
「勿論でございます。 ただ養殖の方が安心して刺身で食べられるとか、脂もあるようで……」
「おのれ、アニサキスめが! 元々、日本にはルイベという、凍らせてから食べる文化があったではないか」
「時代は変わったのでございます。 若干、薬漬けという噂もありますが、もはや、ノルウェー、チリ産の養殖勢力の覇権は避けられぬかと……」
王と大臣は肩を落とした。
「お待ち下さい! まだ我々、白鮭部隊が天然物として残っております。 英雄、『鮭児』もおりますれば、王様にも必ずや、もう一度陽の目に……」

「サーモン、美味しーー!」
今日も回るお寿司屋さんでは、子供たちの笑顔が溢れていた。
ファンタジー
公開:22/01/16 06:00
サーモン 鮭 回転寿司

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