時計と記憶

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父は一代で事業を起こし、経営者となった。
その息子の俺には何の才能もなく、社長である父に怒鳴られ、こき使われる毎日。
俺は父も、才能のない自分も大嫌いだった。
だが俺は知ってしまった。父も元々は才能のないボンクラだったようだ。
それがある日、祖父の腕時計を着けた時から人が変わったかのように働きだしたと…まあ、身につけるもので意識が変わるという話は聞いた事がある。その一種だろう。
そんな事を考えながら俺も祖父の腕時計を着けてみた。
その瞬間、頭に流れ込むは経営のノウハウ。これは…偉大だった祖父の記憶か!
そうか、父はこの記憶のおかげで事業を起こせたんだな。なら俺にも出来るはずだ!見てろよ。すぐに見返してやるからな!

…成程。これが今の若者の思考か。孫の体を乗っ取った儂はその記憶を読み取った。
さて…息子の体を乗っ取った儂も中々いい仕事をしているらしい。儂も負けぬよう、事業を始めるとするか。
ホラー
公開:22/01/14 20:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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