時間差フード

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楽器・雑貨メーカーのハマヤでは、新しく食品分野に乗り出す事になった。
企画担当の次郎君は、新食品のアイデアを探して、押上博士の研究室を訪ねた。

博士は言う。「今回、開発した“時間差フード”を試してみるか?」
「時間差?」
「そう。新技術で、調理時や口に入れた時の反応を遅くしているんじゃ」

次郎君は、博士がくれた唐辛子を口に入れてみた。
「あれ?辛くない」
でも、飲み込むと、次第に体がポカポカしてきた。
「辛い成分を沁み出しにくくしたのじゃ」と博士。

次郎君は面白くなり、隣の皿に手を伸ばした。
「これ、コーンですね。食べられますか」
「うむ。だがそれは」
彼は話を聞かずに口に入れ、噛んだ。すると!
「うわぁ」口の中でポン!ポン!と粒がはじけ飛んだ。

ヒーヒー言って口を押える彼に、博士は涼しい顔で言った。
「それは時間差ポップコーンじゃ。さっき、わしがフライパンで炒っておいたんじゃよ」
ファンタジー
公開:22/01/16 19:32

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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