時計と記憶

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男に生まれたからには一度は本物のストリップを見てみたく俺は劇場を訪れた。
ステージ上で女が煽情的に踊る。それを見て俺は魂を奪われた。
時間があっという間に過ぎていく。時計を見ると数時間が過ぎていた。その間の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまっている。俺は一体何を見たのだろう?
俺はそれから何度も劇場を訪れた。結果は毎回同じだった。どの女のステージを見ても心と時間と記憶を奪われた。

「貴方は芸術家気質なのですよ」
すっかり仲良くなった館長にそう告げられた。
「画家がヌードデッサンをする際、モデルに対し邪な感情を抱かないのと同じで、貴方は踊り手達の肉体美の虜になっていたのです。ストリップはいやらしいだけに非ず。いやはや…私達は良いお客さんに恵まれました」
ストリッパー達も私に声をかけてきた。
「これまでは時計が過ぎるのを待つだけだった舞台が、見る者の記憶に残る舞台に変わった」と嬉しそうに笑った。
公開:22/01/15 20:36
ヤングアダルト 賛否両論あり

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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