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私はアルバイトでダムの水をスポンジで吸っている。底土を乱さぬように少しずつ慎重に。
最後の恐竜とされるアリクイオーミドリは神奈川県くらいの大きさの翼を上下左右に4枚持ち、その身は能登半島ほどで、頭部はカラスと変わらぬほどに小さく、口はマスカラみたいな回転式で、日本列島に現れては蟻を食べる鳥だったという。最後のアリクイオーミドリを食べたのは卑弥呼とされ、故に卑弥呼はこの地の王だった。私が作業しているダムの底には卑弥呼が存在した頃の集落があって、その集落はアリクイオーミドリの巨大なフンによってコーティングされ、今もそのまま残されている可能性があるとかないとかを、昼の休憩にバイトリーダーや本社の人から聞いて、私はその考古学的興奮から時給をあげてほしいと頼んだけれど、君の志はそんなものかと一喝され、午後もスポンジを握った。やがてアルバイトは私だけになり、今は350体の本社の人たちに見守られている。
公開:22/01/13 11:47

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